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河向こうのフェスティバル



Edinburgh International Festival

Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia
Sir Antonio Pappano Conductor

Boris Berezovsky Piano

Tchaikovsky Romeo and Juliet, Fantasy Overture
Rachmaninov Rhapsody on a Theme of Paganini
Schoenberg Pelleas und Melisande

今年もエジンバラのフェスティバルシーズン開幕。トップバッターはローマの名門オケとパッパーノ。ボリスベレゾフスキーも体格の良さからくるダイナミックかつ繊細なところは繊細なピアノ。とにかくこのオケは明るくて華やかでいかにもイタリアのオケと言った感じ。曲目もロシアものとシェーンベルグだったのだが、どの曲も陽気な「俺色」に染まっており、それがちっとも嫌味ではなく、こんなのもありかなと思わせるのが、この楽団が培っている実力なのだろう。シェーンベルグも寝てしまうかと思っていたのだが、無調に入る前に作られた音楽ということで結構聴けたし。アンコールのシュトラウスものもとにかく楽しかった。

Maxim Vengerov Violin
Roustem Saïtkoulov Piano

Schubert Violin Sonata in A major, ‘Duo’
Beethoven Violin Sonata No 7 in C minor
Ravel Violin Sonata in G major
Ernst Variations on the Irish Folk Song ‘The Last Rose of Summer’ for solo violin
Paganini Cantabile
Paganini (arr. Kreisler) I palpiti (Introduction and Variations on Rossini’s ‘Di tanti palpiti’)

ヴァンゲロフはまだ18歳くらいの駆け出しのときに日本で聴いたのが初めて。それから何度もロンドンで聴いたのだが、筋トレで体を痛めて突然一線から引いたのが、2005年。2011年の復活後に聴くのは今回が初めて。その間指揮のディプロマをとったりしていたのだそうだ。以前ロンドンで聴いていたときは、技巧を前面にだしたところが少し鼻につきはじめたところで、ヒラリーハーンなんかの音色を追及するヴァイオリニストに興味が移っていたところだが、今回久しぶりに聴いてみて、改めてカバレッジの広さとそれを可能にする確かな技巧がこの人の一番の魅力だと思った。前半のシューベルトやベートーベンでは、音が丸く豊かになってきたことを感じさせ、後半のラベル(これが一番面白かった)では楽しい即興性を、そしてそれ以降はおもしろいまでの超絶技巧で魅せてくれた。


Swedish Radio Symphony Orchestra
Daniel Harding Conductor

Daniil Trifonov Piano

Beethoven Piano Concerto No 1
Mahler Symphony No 9

数年前にコンセルトヘボウで聴いて感動したマラ9。今回はハーディングと。心地よい旋律が繰り返す中旅を続ける1楽章、マーラーらしいさまざまな飛び跳ねた要素が不思議と調和して楽章としてまとまっていく2、3楽章。そして息をつめて緊張をしながら聴くため長く感じてしまう4楽章。楽団はいっぱいいっぱいだったけれども、またまた楽しめた一夜だった。トリフォノフはベト協1。相変わらず透明感のある音なのだが、少し線が細くベートーベンには合わないかな。

Russian National Orchestra

Kirill Karabits Conductor
Denis Matsuev Piano

Valentin Silvestrov Elegy
Tchaikovsky Piano Concerto No 1
Scriabin Symphony No 2

本当はプレトネフがラフマニ2番を弾くというので取ったチケットだったが、肩を負傷したとかで残念にも降板。若くて大きいマツーエフがチャイコの1番を。この曲を聴くといつも、大好きで毎日のようにこの曲ばかり聴いていた中学生時代を思い出す。とにかくダイナミックで骨太の演奏だったが、まあそれが持ち味という感じ。スクリャービンはソナタなんかはあんなに面白いのに、どうして交響曲はこんなにつまらないんだろう、という曲だった。

Her Name was Carmen
Irina Kolesnikova
Soloist and corps de ballet of the St. Petersburg Ballet Theatre

ロンドン出張の機会を使って面白そうな現代バレエへ。カルメンをモチーフにした舞台だが、Refugee Campが舞台になっているところが現代風。もう少しタンゴ風のバレエが見れるかと思っていたのでその点は残念だが、シンプルな舞台にたくみなダンスが映えた舞台だった。

Rotterdam Philharmonic Orchestra
Yannick Nézet-Séguin Conductor

Sarah Connolly Mezzo soprano

Alma Mahler Lieder (orch. Colin and David Matthews)
Gustav Mahler Symphony No 10 (compl. Deryck Cooke)

もうひとつのマーラー。交響曲10番の怪を避けられなかったマーラーの最後のシンフォニー。1楽章はほぼ書き終えたものの、他はスケッチが残っているのみで、後世に完成された。1楽章はマーラーらしくなく、ひとつの色彩(ダーク)に染まった曲。むしろ他人が作った2楽章以降のほうがマーラーらしかった(しかし、他人が作ったという先入観なのか、やはりマーラーは別格という証明なのか、マーラーらしくても面白さはさほどない)。これで1番の巨人を除いてすべてのマーラー交響曲のコンサートにいったように思う(あと大地の歌も聴いてないけど)。

Gewandhausorchester Leipzig
Herbert Blomstedt Conductor

Sir András Schiff Piano

Beethoven Leonora Overture No 2
Beethoven Piano Concerto No 5 ‘Emperor’
Mendelssohn Symphony No 3 ‘Scottish’

さすがゲバントハウス!の一夜。シフの皇帝はテンポはゆったり目、あと左手がところどころでうまく強調されていて、聴きなれたこの曲を面白く魅せてくれた。1楽章目の最後の音をずーっと伸ばしていたのに違和感を覚えたのだが、楽譜はそうなっていたんだっけ??そしてやはりオケはこれぞ!の重厚な弦、巧みな管、安定の金管。アンコールでエグモントなんかも弾いてくれたので、もう大満喫の1夜だった。

このほかFringeとしては、昨年も見たベルリンの劇団Familie FlozのTheatro Delushio。劇場の裏舞台を扱った劇だったが、相変わらず楽しませてもらった。他にも会社の同僚たちとColin CloudのMind Readingのショーに。
by royalfestival | 2016-08-27 00:49 | Music
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ロンドン・エジンバラ生活備忘録

by royalfestival
「あの青い空の波の音が聞えるあたりに
何かとんでもない落とし物を
僕はしてきてしまったらしい

透明な過去の駅で
遺失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった」
かなしみ 谷川俊太郎 二十億光年の孤独より

忙しい日々の中で落し物をしないよう、書き留めなくちゃね ロンドン生活備忘録。
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