行き先は同じといえども、人生のステージによって旅は変わるものだな、とまたまた旅の面白さが深くしみた南仏旅行。8月中旬にロンドン時代から仲良くしてきた、今はシンガポールに住む友人たちが改めて(長年一緒に居てすでに子供も9歳)結婚式を挙げるということで、その機会に南仏へ。残念ながらひまわりもラベンダーもすべて兵どもは夢のあと。しかし南仏というと都市を回ってばかりだった私にとって、ひまわり、ラベンダー以上の南仏の自然を満喫できた旅行だった。
8/11
マルセイユへ。到着してからすぐにレンタカーに乗り込み、ニームを目指したが、本来1時間半あまりの道が渋滞でかなり遅れての到着。ニームのアリーナ近くの居心地よいフラットに無事落ち着いたあとは、久しぶりにモロッコ料理を食べに。
8/12
朝から、飛ばすぞ!と10時からのカマルグの大塩原を走るトレインへ。ピンクの塩田が美しかったが、お目当てのフラミンゴはまったく見られず少し残念。その後は小さな村にあるビストロへ。メニューはエスカルゴかサラダを選べる前菜と、メインのラムのみ。エスカルゴもラムも食後のデザートも絶品(でも値段は結構お高め)。ニームの有名な橋を見にいったが、道からは見えず、しかも混んでいたので、宿に帰り、少し休んで6時から式へ。ニーム郊外の庭が広い会場で、まずは式。娘はここで3度目のフラワーガールをつつがなく勤める。彼女とは共通の友人も何人かいるので久しぶりに会う顔がたくさん。肩肘張らない式のあとは、庭に移動してアペリティフ。子供たちはナニーさんに伴われて、庭でピクニック。1年のうち300日は晴天だというプロヴァンスそのままの、素晴らしい天気で、参加客たちもさすが二人の友人とだけあって、楽しい人ばかり。ディナーに着席したのは9時過ぎで、前菜にメインがすすみ、ダンスが始まった頃にはもう12時過ぎ。子供たちはナニーさんの監視のもと、勝手な行動は許されず、別部屋にてアクセサリー作りやお絵かき。やっと少しの時間開放されたときには、興奮きわまって踊りまくり(でもすぐナニーさんに部屋に連れ戻され、映画鑑賞)。その後デザートを食べて、さすがに寝ているだろうと、2時近くに迎えにいったところ、まだどの子どももなぜか起きている。。。結局その時点で我々は辞したが、会場にはまだ半数以上が残っており、思い思いにダンスをしたり飲んだり。楽しむときには徹底的に楽しむというラテン人気質はうらやましいなとつくづく思う。結局最後の客が帰り、新郎新婦が眠りに入る準備をしたのは朝の5時だったとか。。。
8/13
昨夜は3時近くに寝たのに、10時には元気に起床の娘。12時からは結婚式第二段があるのだ。今度の会場はカマルグ近く。そのままランチかと思いきや、ブラスバンドに迎えられると、色とりどりのハットを配られ(炎天下だったので素晴らしい気配りだ)、すぐにしばらく歩いた闘牛場へ。スペインに近いせいか、ニームでも闘牛が盛んで、しかしスペインのように殺すのではなく、捉えて焼き鏝を押すだけという闘牛。そのデモンストレーション。郷土色豊かな趣向がとても楽しいし、昨日会って今日もまた会う招待客たちとは、何かビッグファミリーのような気がしてとても居心地がよい。闘牛をしばらく見たあとは、会場にもどってムール貝のワイン蒸しの前菜を立食で。そして直径3メートルはあろうかという巨大パエリアなべで作られたパエリアがその日のランチ。幸せ!!ランチの途中もブラスバンドの演奏にのって思い思いに会場をダンスしまくったり、本当に楽しい結婚式だった。娘もフランス人と結婚しないかなあと思ったけど、でもあれだけの規模の式をファイナンスするのも大変かな。素晴らしい式に呼んでくれた二人に心から感謝!
5時過ぎに帰宅したあとは、ぐったりしている夫を置いて、娘とニームを探索。アイスクリームを食べたり、公園でぐりこをしたり。普段二人きりで一緒に居ることがなかなかないので、こういう時間はとても楽しい。
8/14
朝はニームの街を軽くジョギング。居心地のよかったアパートを出発して映画発祥の地ラ シオタへ。途中車のエラーメッセージが点灯するなど、トラブルはあったものの無事に到着。リゾートと言うよりは大衆的な港町だ。ランチ後海のすぐそばの小さなフラットに腰を落ち着け、早速海水浴へ。街の近くのカランクに張り切って出かけたものの、水温18度!膝までつかるのが関の山。今年の夏に25メートル見事泳げるようになった娘がシュノーケリングをするはりきっていたが、さすがの彼女も一度肩までつかって懲りた模様。仕方がないので、植物園を探検。なかなかワイルドな植物園で、途中でかなりの傾斜の海にむき出しの壁を登ることにもチャレンジしたのだが、私の足がすくみ途中で断念。2時間あまり散歩をして、夜は街にてバーガーの夕食。気取っていないし、なかなかいい街。
8/15
今回カランクは一つの目玉。友人がカランクの写真をいつもアップしており、グランブルーの海を見に行ってみたいと思っていたのだ。最近旅行というと、「ハイキング」のキーワード検索で計画をたててばかり。というのも娘が目標を持ったハイキングがすきなので、そんな彼女をさらに鍛えたくて。以前は旅というと都市や名所旧跡を回ってばかりだったが、ハイキングという観点から探してみると、既に何度も行った場所も国も新しいアングルを提示してくれるので面白い。今回はカシという街から3つのカランクをめぐる散歩コースをチョイス。山火事の多い季節、時には禁止されることもあるだったが、幸運にも歩くことができた。カシの街のはずれに車を止めて、そこからはじめのカランクCalanque de Port Miouまでは街歩き。そこから散歩コースが本格的に始まり、峡谷と入り江に囲まれた広い散歩道をしばらく歩くと、けっこうつるつるした岩のせまい道に入る。すべりやすいし、人もなかなかに多いので少し注意が必要だ。しばらくそんな道を歩くと、 Calanque de Port Pinに到着。こちらはエメラルドグリーンの海。どっこらしょと腰を下ろしたとたん、ハチに刺された。このハチには酸がよいはずだが、酸などないので、海水でとりあえず消毒。そして第3のカランケ Calanque d’en Vau へ出発。ここからは山の中を歩くGRのコースを取り、しばらく山を登ると峡谷の天辺に到着。そこからはかなり急な岩道の下り。「絶対行く」という娘の力強い言葉とともに足元に気をつけながら下りていく。イギリスほどではないものの、小さな子が歩いているのを励ましてくれるハイカーも結構おり、娘はますます張り切る。底にたどり着くと、先ほど降りてきた峡谷が切り立ち、圧巻の眺め。峡谷の谷間をしばらく歩くと、カランケに到着。車は入れないものの、ボートツアーやカヌーの人たちが多く、狭い入り江は人でいっぱい。しばらくそこでお菓子を食べてゆっくりしてから、帰途へ。先ほど降りた谷を今度は上るが、娘が張り切り、小柄のボディーを武器にずんずん登っていく。まだまだ物足りないようなので、帰りはブルーのマークの長い海岸沿いのコースを歩いたが、海の眺めが素晴らしく絶景のハイキングコース。結局4時間弱のハイキングとなった。ラ シオタの街でランチ代わりにアイスクリームを食べ、海沿いを散策して、夜はオイスターバーへ。オイスターに生のムール貝がとても美味しかった。
8/16
ハイキング2日目。この日はAix-en-Provenceの近くのセザンヌが幼少から愛したといわれるSt Victoire(1011m)登山が目標。948mの地点にあるCroixde Provenceまでのコースだ。今回のハイキングに備えて出来る限りの情報をネットから得ようとしたのだが、様々なコースがあり、ブログを読む限り筆者自身の体力によって難易度の評価が変わるので、娘にでもできるコースなのか否かの判断をするのはなかなか難しい。マデイラのハイキングではネット情報がかなり網羅されておりやりやすかったが、今回は情報が乏しく、どこの地点から始めるか、どのコースを行くのか、あまり自信がもてないままの出発。Le Bouquetの駐車場を出発してゴールを見上げながら歩き始める。娘はただ「歩く」よりも「三つの入り江に行くよ」とか「あの山のクロスまで行くよ」とか明確に示してあげたほうが燃えるタイプ。 しばらく歩くとDifficile / Facile の表示とともに道が二手に分かれた。「難しいほうをやる!」とのことでそちらへ。ところがしばらく行くと、いきなり目の前に垂直の4mほどの壁。矢印が上る方向を示しており、びびってしまう。少し上って先を見通そうとしたが、足場が乏しく私と夫でもやっと上れるかの壁。しかも怖いのは、これ以上の難所が出てきたとき、この壁を登るならまだしも降りなければならないのだ。「さっきの分かれ道戻ろう」と言うと、娘が号泣。大きくなったら今度はこちらをチャレンジしよう、と説き伏せたがしばらく機嫌を損ねていた。分かれ道にもどりイージーなコースを行くが、次第にイージーでもない岩ののぼり道が続くように。昨日のように短いながらも急な岩道ではなく、延々と続く岩道。時に娘は手を使って上る必要もあり、しかも昨日のような涼しい海からの風が吹くわけでもなく、炎天下での登山。かなり厳しい。ゴールのクロスが見え初めてからがまた長い。すぐそこに見える気がするのに、まだまだのぼりは続く。やっと3時間弱でゴールにたどり着いたときは皆へとへと。今回のハイキングの反省は十分な飲み物も食べ物も持ってこなかったこと。頂上で回りの人がプラムやレモンをかじっていたのがどれだけ美味しそうに見えたことか。また、3人で1リットルは夏場のハイキングには少なすぎた。娘に少しでもあげようと、我々二人は帰路は水を飲まない状態で歩いていたので、それでもふらふら。いい勉強になった。30分ほど休んで下山開始。昨日のハイキングに続けて登りがかなりこたえたので(しかも私は朝から8キロジョギングしていたし)、足ががくがくな状況。そんな中岩場を降りるので、どうしても慎重になる。また途中で、道を見逃してしまったらしく、しばらく歩くと見慣れぬ風景に来たことに気づき、必死にもと来た道を戻る。水がもう少ししかなかったので、これはかなりあせった。無事道を見つけて軌道修正。そんな寄り道もあり、帰りも2時間以上かけての下山。トータルで5時間あまりの登山となった。昨日も「あと一度くらいこのコースを歩ける」と昨日いばっていた娘もさすがに疲れて口も利けない様子。しかし一度も抱っこと頼んだり、文句を言わなかったのは本当にたいしたものだ。この調子ならばすぐに富士山だって登れるよ。駐車場についてからはとにかく飲み物!とガソリンスタンドでコーラと水を買い、皆でがぶ飲み。本当は娘にコーラの味など教えたくなかったけれども、運動の後のコーラは格別だから、まあいいか。
コーラを飲んで一息ついたあとは、趣向を変えてクラッシックコンサート。de La Roque d'Anthéron という小さな小さな村で毎年夏に行われるピアノフェスティバルへ。小さなカフェが一つあるくらいの小さな村の公園の野外劇場が会場。野外でのピアノコンサートというと、オルフェウスの窓のイザークの皇帝の場面を思い出す。風がさわやかに木々を揺らす中で音楽を楽しめるなんてなんて素敵なんだろう。子どもは無料で娘も入場するとき「マドモワゼルもピアノを弾くの?」なんて聴かれていた。セミの声がこだまして、残暑を扇子で振り払おうとする人々がいる中、コンサートがスタート。昨年のショパンコンクールで2位となったCharles richard-Hamelin。熊のような穏やかな外見とマッチした暖かい音が印象的。モーツアルトのファンタジーにショパンの即興曲。シューマンのソナタの1番。娘は当然のことながら気持ちよく昼寝。
こんな小さな村のフェスティバルだが、素晴らし出演者リストで、エジンバラのフェスティバルなんかより、よほど見たいプログラムがいっぱい。会場も6時からの会なのに(もうひとつ8時からの演奏会も)ほぼ満席で、ヨーロッパのクラッシック人口の豊かさが分かる。
1時間のコンサートの後はその日の泊まる場所Pertuisへ。何もない場所だが、隣のホテルで食べた鴨コンフィなどの夕食がなかなか美味しく、大満足。
8/17
この日はヨーロッパのグランドキャニオンといわれるヴェルドン渓谷へ。これまた地球の歩き方とかにはあまり掲載されていない隠れた名所で、バスクリンのような水をたたえた人工湖Sainte Croix Du Verdon に流れ込む峡谷だ。「今日はもう歩かない」という娘をだましだまし、今度は水をたくさん持って、人気の小さな村といわれるムスティエサントマリーもかすめただけにして、Point Sublimeへ。そこからさらに降りたところに駐車して峡谷散歩の入り口へ。川の水はすんでいて冷たく、Gorge Hikingをする人たちでいっぱいだ。また切り立った崖に目を凝らすと、ロッククライマーの姿も。ロッククライミングのメッカだそうだ。「ちょっとだけしか歩かないからね」などと言いつつ、峡谷沿いの散歩道をすすむ。まずは800メートルくらいの長いトンネル。外の暑さとうってかわって涼しく、携帯のランプで照らしながらの散歩。本当はこのコースは14キロくらいの非常に人気あるコースなのだが、さすがに今日はすべてを歩く気力もなく、1時間ほど歩いて逆戻り。いつかこの14キロのコースを歩きに戻ってきたいな。車のところに戻るべく歩いていると、駐車禁止のとりしまりおまわりさんの姿が。それまえやる気なく歩いていた夫が猛ダッシュしてなんとか免れることができた。その後はしばらく峡谷付近と山をドライブして、香水の街GrasseのとなりMouans Satouxへ。夜はリヨン料理のレストランに入る。
8/18
盛りだくさんの旅行も今日でおしまい。朝からFragonard の工場見学。香水をいくつか買ってもらい、その後はAntibesへ。昔行ったときにはニースのあとだったからか、小さな可愛い街と思ったのだが意外と大きい街だった。おいしいコーヒーを飲んでシーフードを食べた。そして旅の最後はこの近くにある大きなプールへ。せっかく水着を持ってきたのに入れずじまいだったので、ここぞとばかりに。ところがせっかくたくさんの滑り台があるのに、娘は最後のどぼんが怖いらしく、あまり繰り返し行きたがらない(それでも最初はだましだましやるのだが)。ただゴムボートに一緒にのってすべるのが たいそう楽しかったようで、夕方まで大興奮で遊んだ。深夜のフライトで帰宅。